抄録
特別支援学校高等部在籍の視覚障害のあるAさんが、家人の介護と看護が急遽必要になったために通学が困難(=学習継続が困難)な状態に陥った。
それまでAさんは、要介護1の認定を受けることになる父親と、主に父親が介護に当たっていた、要介護2の認定を受けてデイサービスを利用していた母親との3人暮らしであったが、父親の急な入院のために母親の介護をしなければならない状況となった。
学級担任は、Aさんから事情を聞き取って専攻科の職員会議へは報告したものの、Aさんの真の悩みである「学校に通いたいが通えない。前期末試験も迫る中で進級にも影響があるのではないか。さらに、せっかく入学できたのに退学しなければならないかもしれない。」という不安には応えることができなかった。
そこで、専攻科所属の特別支援教育コーディネーターがAさんの通学を保障するための支援に当たることとなり、本人の状況、両親の状況、居住地域における社会資源の状況等を調べるとともに、母親を担当している地域包括支援センターの介護支援専門員と連絡を取り、当面は母親の介護はショートステイとして行い、その間に特別養護老人ホームへの緊急入所の手続きを進め、父親の退院を待ちつつ、Aさんの通学保障(=学習継続保障)を実現する方針で取り組んだ。
その結果、特別支援教育コーディネーターが介護支援専門員であったこと、地域活動の中心者でもあったために介護・福祉施設とも面識があったこと等により、母親の緊急入所も叶い、父親も退院することができ、前期末試験を無事受験することができた。
このケースは、ややもすると外部からの依頼による視覚障害教育支援が本務と思われがちな盲学校の特別支援教育コーディネーターが、盲学校に在籍する学生の学習継続保障までも成し得る立場にあることを示すものであり、その業務の広がりが有効であることを物語っている。