シミュレーション&ゲーミング
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交換基準の進化と社会分化
高木 英至
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2003 年 13 巻 2 号 p. 179-187

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抄録

2者間の社会的交換(限定交換)において交換資源の等量性が出現し得るか否かを焦点として計算実験を実施した.エージェントには非協力戦略と交換戦略(TFT)が選択可能であり,後者はさらに「供与量上限」と「獲得目標量」の2基準を戦略次元として持つ.結果は次の傾向を示した.供与量上限と獲得目標量は一致する傾向があり,同じ量が交換される傾向は心理的メカニズムなどを前提とせずに出現する.社会的交換は基準を共有するエージェント間で生じやすく,保有資源に階層性があるときは階層ごとの交換(社交の階層化)が出現する.これらの結果は社会的交換(限定交換)における基本的規則性が自生的に出現し得ること,および交換基準の下位文化にそった社会分化が生じ得ることを含意している.

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© 2003 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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