2007 年 17 巻 2 号 p. 77-82
本稿では,シミュレーション&ゲーミングにおける倫理的な問題について,特に社会心理学的な視点から検討する.取り上げる問題領域は大別して3つである.それぞれの領域について,網羅的とはいえないが,いくつかの疑問を提示する.第1は,ゲームの参加者(プレーヤ)の取り扱いに関する問題である.たとえば,あるゲームによる学びが深いとわかっていたとしても,そのゲームヘの参加を強いることは正当とされるであろうか.第2は,ファシリテータのあり方についての問題である.ファシリテータしかゲームの全体構造を知らないときに,ファシリテータがあたかもその世界の支配者のように振舞うことはどの程度まで許容されるだろうか.第3は,ゲームの内容にかかわる問題である.暴力的なゲームは,暴力的という理由だけで排除されるべきであろうか.むしろまじめで教育的な見かけのゲームにこそ,われわれは注意深くなくてはいけないのではないだろうか.