本研究では,筆者が以前提案した文脈不一致型のRPG(ISAGA2002, 2003)の枠組みを用いて,都市と農村の交流の観点から郊外農村の地域づくりのために,現実の市民と啓発された代理人(大学院生)との間で戦略的な合意形成実験を行う.このRPGでは,代理人が専門的知識を生かして発案した地域デザインを市民に提示し,それを市民に評価してもらう形で進められるが,RPGの評価は代理人の教育や学習に主眼はおかない.むしろ,代理人がもっている普遍的かつ合理的な知識に接触することで,地域の市民自らに共通すると考えられる地域の文脈を共有させることができるかに着目する.方法論的には,市民の関心度変化や地域イメージ変化に加えて,議論での発話を一つの行為とみなし,その変化を探りながら,文脈想起の評価を行う.重要な結論を一つ述べれば,以前のRPGと同様に,公的役割を担う市民に変化(文脈想起)が大きいことが伺える.