震度5強以上の直下型地震によりグラウンドアンカー(以下,アンカー)の破断が確認された4箇所の道路のり面のアンカー工について,地震がアンカー破断に及ぼす影響について調査を実施した。調査の結果,地震によるアンカーの破断は,崩壊を伴うのり面と明瞭な損傷が認められないのり面で確認された。破断形態は,引張り破断を主体とするが,一部でせん断破断が確認された。また,アンカーは,引張り破断の理論伸び量より小さい変位量で破断した可能性が認められた。地震後のアンカーの荷重観測を行った結果,余震等に対してアンカーの荷重増加や破断の進行は認められず,のり面は一定程度の安定性を有していることが確認された。地震動とアンカー破断の関係について,簡易予測式による換算最大加速度が580cm/s2以上の箇所で,アンカーに破断が発生したことが確認された。