2019 年 28 巻 2 号 p. 90-96
筆者がダブルループ学習に関心を持つに至ったのは,30数年前,某私立大学(A大学)の経営立て直しに携わったときからである.ここでの経験から筆者は,コンピュータを使ったマイクロワールド(Microworlds)が組織のダブルループ学習を可能にする強力な手法であることを認識した.この大学は,長い沈滞のあと急に活性化し高いパフォーマンスを上げるようになった.なぜコンピューターシミュレーションが,組織学習を通じて大学を劇的に変革する上でかくも役立ったのか.コンピューターシミュレーション以上に有効な手法がほかにあるのか.緩やかな結合の状況のもとでの組織学習に効果的な手法を開発することは,可能なのか.これらの疑問が筆者の研究の出発点となった.筆者は20以上のポリシーエクササイズを開発し,実施した.そしてこれがコミュニケーションとリーダーシップ研修用のゲーミング・シミュレーションの開発へとつながっていった.開発されたゲーミングシミュレーションは,京葉コンビナートの現場中核人材の研修に10年以上継続的に用いられている.