2022 年 32 巻 2 号 p. 49-60
本研究では,衣服の大量廃棄や生産プロセスにおける労働の不公正といった諸問題の根底には,衣服に関する倫理が社会的に構築されていないことが原因としてあるとの前提のもと,衣服の倫理をつくるためのゲーミング「BAZAAR」を設計・実施する.BAZAARのプレイにおいて,プレイヤー達は不用な衣服をプレイヤー間で贈与し合い,衣服との新しいつきあい方を物語形式で考案することを通して,衣服の多様な価値を発見する.そして,ディブリーフィングにおいて,衣服との新しいつきあい方を実践することで守られる衣服の価値や,実践上の困難と解決策について議論し合うことで,「衣服を大切にするべきである」という衣服の倫理に関して相互承認を行う.「衣服の見方」や「他者にとっての衣服の価値への尊重」等,プレイヤーの意識の変化に関わる3つの仮説を立てたうえで,BAZAARの実施実験を行ったところ,仮説に整合する結果が得られた.