2024 年 34 巻 2 号 p. 99-112
本研究では,対人問題解決力の縦糸・横糸モデルに基づく大学生向けソーシャルスキル・カリキュラム及び講義期間中に宿題として提供した教材の効果を転移に着目して評価しふり返らせるために,転移の評価・促進教材を開発して実践した.講義を履修した学生127名のうち38名が,講義終了2–3か月後に転移の評価・促進教材に取り組んだ.その結果,38名中13名は,転移の評価・促進教材においてもモデルに則して考えることができており,転移したと判断した.その13名中9名は評価基準を全て満たす最終案を記述できていた.38名中12名は合理的判断過程のみを省略しており,そのうち6名は評価基準を全て満たす最終案を記述できていた.問題の難易度が高くなった時に,これらの学生がより良い解を導けるか,さらなる検証の必要性が示唆された.講義期間中に宿題として提供した教材内の問いに対する学生の回答からメタ認知知識の定着とメタ認知技能の活用の程度を確認したところ,転移していない学生は,特に汎用的な手順に関する知識の定着と問題解決の際に見方・考え方を意識的に働かせることに課題があることがわかった.