2026 年 46 巻 3 号 p. 183-193
私の学生相談活動は日本学生相談学会との関わりなしではできなかったが、私も学会も上位の社会制度である日本社会や大学教育の潮流の影響を常に受けてきた。そこで本稿では1990年代の半ばか ら2020年頃までの間の社会や大学教育の変化、学会がその変化をどう受けとめてきたのか、そして当時の私の実践について振り返った。2000年頃から大学教育の一環としての学生相談が注目されてカウンセラーの配置が進んだが、2010年代の後半からは大学の財政悪化により教職員による学生相談は後退したと考えられる。この間、学会は社会や大学が求める学生相談のニーズに応えながら、教職員が連携する学生相談および専門職・学問としての学生相談を社会と大学に向けて発信を続けてきた。今後も学会が時代の流れを受けとめつつ、教育の一環としての学生相談の理念、学生相談の現場に即した多様な援助方法とコミュニケーションの尊重、そしてすべての高等教育機関に向けての学生相談機関のあるべき姿の発信の3つを守っていくことを私は願う。