ストリートアートを用いた「対話」と「交渉」

メキシコ南部オアハカ州における集団Aの実践を事例として

抄録

本報告は、メキシコ南部オアハカ州において、ストリートアートを制作する集団を事例に取り上げる。彼らは農民の労働環境の改善や選挙の汚職を糾弾するイメージを街路に設置し、民衆から評価を得ている。また一方で、彼らは州政府と完全に敵対的な立場をとるわけではなく、州政府から利益を引き出しながらも、一方的な服従を避けるような関係性がみられる。本報告では、そうした微細な権力関係を可視化することを目的とする。