日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
ISSN-L : 2189-7964
日本文化人類学会第49回研究大会
会議情報

日本文化人類学会研究大会発表要旨集
民族浄化の経験と記憶
コソボ紛争時のアルバニア人女性被害者の事例から
吉村 美和
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. E11-

詳細
抄録

 旧ユーゴスラビア紛争における民族浄化は、大量虐殺、および組織的強姦や強制妊娠などの性暴力による排除が横行した凄惨なものであり今なお民族集団間に遺恨を残している。報告者は、コソボ紛争時にセルビア人男性からアルバニア人女性に対して行なわれた性暴力を対象に、性被害に遭遇した女性たちを支援しているコソボの民間施設を訪問し、紛争時の性被害とそれ以後の生活の実態について聞き取り調査を行った。その結果、アルバニア人の慣習法であるカヌン(Kanun)が、性暴力を受けた女性たちに大きな影響を与えていることが明らかになった。今回の報告では、先行研究とフィールドでの事例を照らし合わせながら、アルバニア人女性たちが経験した性被害の事例を3つ提示し、それらを分析することでカヌンと紛争時の性暴力の関係について考察していく。

著者関連情報
© 2015 著作権は日本文化人類学会に帰属します。
前の記事 次の記事
feedback
Top