日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第50回研究大会
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日本文化人類学会第50回研究大会
現代ベトナム都市部における祖先祭祀の現状と変容
ホーチミン市を事例として
グエン ティ ホアイ チャウ
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p. F06-

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抄録

  ベトナムにおいては、戦争が多かった独自の歴史の中で、血縁による民族の団結が強化されたり、また紀元後2000年以上、祖先祭祀を重視する儒教を積極的に受容してきた背景があることからも、祖先祭祀は重要視されている。従って、ベトナム民族の文化基盤を成す重要な要素の一つとしての祖先祭祀は重要な研究テーマになっている。  本論文は、都市化が進み、祖先祭祀を支える基盤である親族集団等を取り巻く環境が変わりつつある現代ベトナムにおいて、特に儒教との関係で、現在進行しつつある祖先祭祀の変容のあり方を明らかにすることを目的とする。この中では、まず、今までの先行研究にあまり言及されなかった儒教の核心とする「孝」原理を表わす父系血縁原理に重点を置き、祖先祭祀の従来のあり方を確認する。これを踏まえて、仏教化や儀礼の簡素化、さらに祀られる対象の「双系化」等といった祖先祭祀の変容のあり方、さらに祖先祭祀の今後の方向性を論じる。

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