場の科学
Online ISSN : 2434-3766
イノベーション拠点の脆弱性~R&D設計からの学びを考える~
菊池 純一今 智司田中 康之仲上 祐斗
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キーワード: 鼎談
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2025 年 5 巻 1 号 p. 5-39

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抄録
Ⅰ.イノベーション拠点の脆弱性に係る論点 イノベーション領域において、研究技術開発の活動内容を事前に設計し、かつ、所定の成果を社会実装へと紐づけるのは、容易なことではない。しかしながら、近時10年程度の国家プロジェクトを起点とする各種の産学官連携プロジェクトを俯瞰的に観察し、かつ、他国の同様な施策展開に鑑みても、必ずしも成功裡にモノ・コトが進展したとは言えない。イノベーション拠点になんらかの脆弱性が存在していた。事前段階において、少なくとも、社会的アウトカムの構想設計、先端的課題ハードルの設定指針、想定するサプライチェーンの頑健性の確保、人材の相互流動性の確保に係る要所を再点検することは喫緊の課題となる。 Ⅱ.イノベーション拠点の先鋭領域と人工知能 イノベーション拠点を支える組織には独立性が必要であるものの現状はイノベーションに向けた活動を片手間にしかできない組織が多く、個人の力にのみ頼りがちという脆弱性がある。イノベーションの機会を捉える視点も課題であり、社会の変化を適切に救い上げることができる組織が必要である。更に、組織の活動を多くの人々に知ってもらうことを軽視してはならない。また、人工知能(AI)を例に挙げると、2024年10月の特許庁によるAI関連発明の特許出願状況からは各国ともAIコア発明の特許出願件数の伸びは鈍化していることが分かるものの、中国の出願件数は異次元に多い。そのため、今後も日本と中国との出願件数の差はますます広がることが想定される。AI関連技術に限らないが、イノベーションの実現には、適切に機能する「イノベーション拠点」の必要性は排除できない。 Ⅲ.イノベーション拠点の資金調達イノベーション拠点の資金調達は複雑であるが、金融専門人材不足や金融機関の事業価値について理解不足が起因となり、資金調達に困難を伴う。特に中小・小規模事業者では、融資審査の壁が高く、補助金採択後のつなぎ融資にも苦労する。ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングが注目される一方で、その実効性は限定的である。日本政策金融公庫など制度金融のありかたにも課題が多い。近年、金融庁が「企業価値担保権」など事業性融資の立法化による新制度を打ち出し、ようやく企業価値を評価する方向に進みつつある。今後の進展に期待したい。
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© 2025 協創&競争サステナビリティ学会
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