抄録
本鼎談は、村上恭一氏の新著『安穏の「場」とその敵―生態智創学―』(協創&競争サステナビリティ学会: JASCC.ORG; 通称、ジャスーグ学会)叢書シリーズ[Ⅰ]2026 において、発信さ入れた「生態智創学」という体系を「一つの叩き台」にして、「智の連携の場」を構築したものである。本書の中で村上氏は、6 つの「場」(座・講・会・連・社・塾等)を扱い、数十種に及ぶ理論概念を俯瞰的に科学することに多くの労力を払っているが、この鼎談では、4 つの本質的な問いかけに絞り込んで、互いの「智識」を共有する機会を設けた。
問 1 の欧米流の「Transdisciplinary(トランスディシプリナリー;超学際的)」は、学際という「際」ではなく、政治意図が強いコンセプトである。一方、村上氏の「生態智創学」の論理は、日本の伝統論理「四論(中論、十二門論、大智度論、百論)に基づく、安寧の「場」を探求するものである。生態の態様を俯瞰する「知識の組み合わせ」ではなく、「智識の創成」が求められる。
問 2 の「市場スラック」については、生態智創学の取引資源論を対比させることによって、論理構成の差異を整理した上で、非効率な経営の「場」が消滅せずに存続するという「極相」の態様について討議した。
問 3 の人工知能のシステム革新については、革新の社会実装がスピードアップする勢いであり、生活の場、物づくりの場、さらには、社会インフラの場に、インベーダー(侵略者)のように、AI が入り込みつつあり、人間と「が、身交ふ」の生態変容を注視した。後段では、「情報仮想人」という擬人化の課題も共有した。
問 4 の「与贈循環」という仕組みにつては、社会システムの中にエコシステム(循環システム)構築するコトも「善しである」とされてきたのだが、「互譲互助」の協働態、つまり、「慈悲」(他者の苦しみを取り除き楽を与える)について、マダカスカルのマーブルザリガニの例を取り上げた。