発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
発達障害の素行症・反抗挑発症
富田 拓
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 41 巻 4 号 p. 314-325

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抄録
まず,現在の非行少年の特徴について,医療が役に立つ非行少年が少なからずいることに触れたうえで,素行症と反抗挑発症とは何かについてDSM-5の診断基準に基づいて説明し,それらと発達障害との関連について述べた.発達障害だけで非行に至ることはなく,不適切な養育環境等さまざまな要因が重なって初めて非行に至ることを指摘した.虐待環境にあった非行児が今も昔と変わらず多いこと,一方で虐待した親を責めることに益はないこと,むしろ親をねぎらうことから始まることが多いことを示した.典型的な事例を提示したうえで,それに対して非行少年を対象とする児童福祉施設である児童自立支援施設で彼らにどのような働きかけを行っているかを紹介した.そこでは寮長寮母夫婦と,インフォーマルな面も含む子どもの小集団という二つの重要な対人環境が彼らに与えられており,そこでの生活を通じて発達障害を持つ非行少年たちも成長していくことを述べた.
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© 2020 日本発達障害学会
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