抄録
本研究では,教室での困難場面における要支援児の援助要請の有無に応じて,周囲からどのように援助提供されているのかについて明らかにすることを目的とし,質問紙調査を行った.公立小・中学校の特別支援教育コーディネーターかつ学級担任の教師を対象に,要支援児の援助要請や,周囲児の援助提供に関して回答を求めた.その結果,要支援児のうち半数程度は自ら援助要請することが難しく,多くの要支援児が援助提供を受けていることが明らかとなった.小・中学生とも援助要請し周囲児に援助提供される要支援児,援助要請せず周囲児に援助提供されない要支援児が多いことが明らかとなった.また,援助提供する周囲児の特徴に関しては,要支援児の援助要請がある場合,小学生においては困った状況を読み取る周囲児が最も多く援助提供をしていたが,中学生においては仲良しの周囲児も,困った状況を読み取る周囲児もどちらも多くみられた.要支援
児の援助要請がない場合,小中学生共に困った状況を読み取る特徴のある児童生徒が多く援助提供をしていることが示された.