抄録
本研究の目的は,知的障害のある児童生徒の自立活動の個別の指導計画の指導目標における実行機能に関する教師の記述の内容を明らかにすることである.知的障害特別支援学校の小学部・中学部・高等部に在籍する自閉スペクトラム症のない知的障害児99名分の指導目標に関する 教師の記述を文単位で抽出し,合計255センテンスを分析した.結果,指導目標の内容はコミュニケーション(37.3%)と実行機能(36.1%)に関する内容が多くを占めていた.実行機能の記述 内容には複合的な位相が含まれていたため,さらに句を単位としたユニットとして抽出し,実行機能の4位相(目標設定,プランニング,活動実行,効果的実行)に分類した.結果,いずれの所属学部でも効果的実行の位相が有意に少ないことが明らかになった.さらに各記述に用いられる実行機能の位相数を分析した結果,小学部では1位相が多く,高等部では3位相以上が多かった.結果から,知的障害児の適応行動の獲得・改善を目指した指導目標における難易度の違いが実行機能の見地から示された.