発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
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発達障害のある人の適応行動を支える強化随伴性の理解とモチベーション・デザイン
野呂 文行
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2021 年 43 巻 1 号 p. 41-47

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抄録
応用行動分析学では,強化随伴性の枠組みを用いて行動の分析を行う.行動が生起・維持 されている場合の強化随伴性は,「出現型強化」「消失型強化」のいずれか(あるいは両方)である ととらえる.このうち,消失型強化は嫌悪事態の逃避・回避であり,長期にわたりこの随伴性に曝 され続けると,情緒問題が生じる可能性がある.それを予防するために,支援者は発達障害のある 人の行動がいずれの随伴性で生起・維持されているのかを理解し,支援することが重要である.ま た発達障害のある人は,随伴性に対して特異な感受性を有している.つまり定型発達の人とは異な る随伴性をデザインする必要がある.対象者の特性に適合した強化随伴性を整備し,出現型強化で 適応行動が生起・維持可能な環境をデザインする(モチベーション・デザイン).さらにそのデザ インを人為的随伴性から日常的随伴性へ,また他律的なものから自律的な方向へと移行させていく ことが重要である.
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© 2021 日本発達障害学会
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