抄録
保育所・幼稚園では在籍する発達障害のある子どもや気になる子どもへの支援の充実が求められており,そのような背景のなかで,保育者の巡回相談への期待が高まっている.しかしなが ら,巡回相談を利用した保育者と,巡回相談の対象となった子どもにどのような変化が生じるのか についてはほとんど知られていない.本研究では,データベースを使用した文献レビューを行い, 保育所・幼稚園への巡回相談のアウトカムについて整理した.適格基準を満たした 6 件の研究から, 巡回相談により,巡回相談を利用した保育者の自己効力感と支援行動に,また,対象の子どもの適 応行動と行動面の問題に,肯定的な変化が生じる可能性を示した.今後の課題として,巡回相談のアウトカムの評価・検証に関する研究の蓄積の必要性,巡回相談の指標の設定とデータ収集の重要性について提示した.