抄録
わが国における発達障害のある子どもに関する保育士を対象とした研修について,研修の形態や内容,対象者,保育士や子どもに対する効果を検討した.文献検索とハンドサーチにより,18本の論文を抽出した.保育士の経験年数は初任者から30年以上で,経験年数等による効果の比較はできなかった.対象に子どもを含んでいたのは12件で,質問紙の改善は見られたが,行動が測定されていないものもあった.対象児の行動を変化させるためには講義だけでなく実践と測定が必要であると考えられた.研修時間は6~40時間で,研修時間と効果の明確な関係は認められず, 研修形態の影響が示唆された.保育士の知識や支援案を向上させるためには行動療法や行動分析の講義が有効な可能性があり,技術の向上を図るためには,実践やOJT,ビデオフィードバックが有効な可能性がある.対象児や保育士の属性が効果に及ぼす影響については今後の検証が必要であると考えられた.