抄録
近年, 発達障害の分野では発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorders:DCD)の概念が広まりつつある.DCD の子どもを理解することは,言い換えれば,運動発達の多様性を再認識することである.本稿では,DCD の理解や支援に触れるとともに,運動発達の多様性について言及し,広く“個々の違い”を前提とする“アダプテッド”の視点に基づく支援のあり方や方向性について述べることとした.近年の運動発達研究を概観すると,子どもの運動発達があらかじめ決定されていた 1 つの経路を進むのではなく,環境との相互作用のなかで個々が出会った環境に適合しながら多様な経路をたどることが示されていた.そしてそこにアダプテッドの理念が重なり合うことで,子どもの発達経路を理解すること,そして,子どもの発達経路に合わせて課題や環境を調整する支援の必要性が示された.今後は,アダプテッドの豊かな実践を丁寧に分析し,かつ創造的なアプローチを積み重ねていくことが必要であると考えられた.