抄録
本論文では,自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorders;ASD) をもつ子どもの不安症状に対する認知行動療法 (Cognitive Behavioral Therapy;CBT) に焦点を当て,展望を行った.まず,実践研究について文献検索を行ったところ,代表的な CBT プログラム 8 つが抽出された.これらのプログラムは,定型発達者に対するプログラムがもとになったものと ASD をもつ子ども対象に作成されたものにわけられた.また,技法としては,心理教育,エクスポージャー,認知再構成法,リラクセーション,社会的スキル訓練があり,複数のプログラムにおいて共通の構成要素が採用されていた.さらに,ASD をもつ子どもへの適用のための工夫として国内外の研究で明記されていたポイントは,視覚支援,親・学校の関与,こだわりの利用,介入内容の調整,具体的表現であった.そこで,これらの展望結果をふまえて,ASD をもつ子どもへ CBT プログラムを
適用する際の留意点について論じた.最後に,今後の課題と展望について議論を行った.