2012 年 10 巻 p. 68-76
2011年3月11日午後に発生した東北地方太平洋沖地震は、M9.0の巨大地震であり、複数の都県が同時被災した超広域災害となった.この未曽有の災害に対して、国レベルでの状況認識の統一を図るために東北地方太平洋沖地震応急地図作成チームが産官学で結成され、災害発生翌日から内閣府防災担当の特別会議室で約1か月半の活動を展開した。そこでは、非常に多くの組織・個人が交代で関わる中で、一定の質を担保した地図を作成することが求められた。
本研究は内閣府EMTの活動を地図作成の事例として、実際にその現場でユーザーニーズに基づいて作成された地図がどのように可視化されたのかを、可視化に直接かかわる機能面と、間接的に関わる処理要素の観点からの分析を踏まえて、国レベルの対応現場で必要とされる可視化スキルについて一般化の提案を行った。