災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
[論文]
住民の防災対策実施を支援するための地震ハザードマップを作成する際の考慮事項
藤本 一雄能登 貴仁
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2013 年 11 巻 p. 32-42

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抄録

住民による防災対策の実施を支援するための地震ハザードマップを作成する際に考慮すべき事項を示すことを目的として、既存の地震ハザードマップに掲載されている防災対策に関する情報を分析した。具体的には、全国の181自治体(市町村)が作成した地震ハザードマップに掲載されている防災対策に関する情報を、ISO31000のリスクマネジメントプロセスにおける5つのステップ(組織の状況の確定、リスクアセスメント、リスク対応、コミュニケーション及び協議、モニタリング及びレビュー)および流れ(コアプロセス)に沿って整理・集計した。

その結果、住民の防災対策実施を支援する地震ハザードマップを作成する上で考慮すべき事項として、1) 各自治体が地震ハザードマップを作成した目的を示すとともに、目的に対応した記載内容・表現を採用すること、2) 各市町村で予想される震度・被害レベルに応じて必要となる防災対策を示すとともに、対策実施の優先順位に関する情報も併せて提供すること、3) 防災対策の実施を検討する際に、家族(内部ステークホルダ)や地域住民(外部ステークホルダ)との話し合い・相談を促すための工夫を取り入れること、4) 防災対策の実施状況を点検(チェック)するための工夫を取り入れること、5) リスクマネジメントプロセスの流れ(コアプロセス)を踏まえて、地震ハザードマップの掲載情報にアクセスする順序に配慮すること、を指摘した。

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© 2013 日本災害情報学会
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