災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
[論文]
帰宅困難時における行動選択の要因
加藤 健鵜飼 進
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2014 年 12 巻 p. 52-63

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抄録

災害等によって帰宅困難に陥った際に、どんなに遠くても徒歩で帰宅を目指す人もいれば、一時滞在施設にとどまる人もいる。こうした帰宅行動の相違は、どのような要因に起因するのであろうか。本稿では、帰宅困難時の行動選択に影響を与える要因として四類型を整理し、どのような要因が帰宅行動に影響を与えるのを分析した。結果として、性別、過去の帰宅困難経験や一時滞在施設の利用経験、あるいは災害の発災時刻や気象条件が帰宅行動に影響していることを明らかにした。本稿では、これまで先行研究では注目されてこなかった過去の災害経験も分析に含めた結果、人は再度災害に見舞われた際、過去の災害経験での行動と同じ行動パターンを取りやすい傾向にあることを見出した。すなわち、過去に徒歩での帰宅を経験した人は、再度、徒歩での帰宅を試み、逆に、過去に一時滞在施設の利用を経験した人は、早々に一時滞在施設に向かう行動がとられることが想定される。

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© 2014 日本災害情報学会
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