災害情報
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[論文]
ハザードマップの閲覧率・保管率に関する基準の検討
金井 昌信蟻川 景介片田 敏孝
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2017 年 15 巻 2 号 p. 233-243

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抄録

防災に関するソフト対策として、様々な災害を対象にハザードマップ(以下、HM)が全国各地で作成・公表されている。そして、これまでにHMに関連した様々な研究も実施されてきた。ここで既往研究を概観すると、住民がHMを閲覧することを前提として、HMの公表効果やHMの記載内容の検討、新たなHMの提案などがおこなわれている。その一方で、「低調なHM閲覧率」を指摘している既往研究は少なくない。しかし、HM閲覧率や保管率に関する知見は不十分であり、HM閲覧率や保管率の高低を判断する基準がない現状にあるといえる。そこで本稿では、HM閲覧・保管状況の改善策を検討するための基礎的知見として、HMの閲覧および保管に関する現状を把握し、その基準を検討した。

既存調査結果を用いたメタ分析によって、個人属性とHM閲覧・保管状況との関係を確認した。その結果、性別の違いによる差よりも、年齢の違いによる差の方が大きいことを把握した。次に、“地域特性”に関する要因と“調査”に関する要因が、HM閲覧率・保管率に与える影響を定量的に把握するために重回帰分析を行った。その結果を用いて、世帯単位でのHM閲覧率・保管率を推定し、その結果をHM閲覧・保管状況の検証するための基準として用いることについて考察を行った。

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© 2017 日本災害情報学会
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