災害情報
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[論文]
震災からの「教訓」を伝える2つのデータベースの実装とその評価:「3.11からの学びデータベース」と「震災教訓文献データベース」
佐藤 翔輔岡元 徹今村 文彦
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2018 年 16 巻 1 号 p. 95-104

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抄録

著者らは,研究者から東日本大震災に関する「教訓」の情報提供を受け,これをデータベース化して,ウェブ上に公開する「3.11からの学びデータベース」と,震災に関連する論文や報告書における記述をもとに「教訓」に関する情報を整理して,公開する「震災教訓文献データベース」という2つのウェブデータベースを実装・公開している.本稿では,公開から約2年間経過した時点におけるアクセス件数の解析とモニター調査によって,両データベースの有用性と課題を検証するシステム評価を行った.その結果は,次のようにまとめられる.1)両データベースは,1日当たり200~500件程度のアクセスがあり,継続的に利用されていることが確認された.2)データベースのモニター調査においては,「3.11からの学びデータベース」は,興味や関心,内容の分かりやすさの観点から良好な評価を得た.3)両データベースにおいて,カテゴリや災害名といった検索語の候補を提示したことで,検索が容易に行えていたことが分かった.4)「3.11からの学びデータベース」では,見出しが適度に要約されていて分かりやすい,「震災教訓文献データベース」では,情報が多くてよいという感想が多く,前者では「質」を後者では「量」を相互補完する機能を果たしていた.5)両データベースにおいて,文章の表現やレイアウトにおいてネガティブな評価があったことから,今後の改善を要する.

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© 2018 日本災害情報学会
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