阪神・淡路大震災以来、多くの自治体で災害情報システムが構築されてきたが、実際の災害対応において効果的に機能しなかった事例も散見される。本論文では、こうした災害情報システムが災害対応の実践で活用されないという課題について、情報系システム/業務系システムという分類上の概念に着目した。まず、実際の災害対応を観察し、基礎自治体の防災担当者にインタビュー調査を実施することで、都道府県と基礎自治体の災害対応業務の違いから、そもそもシステムに求める機能の相違(本論文では、“システム・ギャップ”と呼ぶ)が存在し、こうした求める機能の違いが、災害情報システムの積極的な活用を阻害する要因の一つになっていることを明らかにした。
さらに、全国1741の基礎自治体に対してアンケート調査を実施した伊勢ら(2017a)の調査結果から、こうした“システム・ギャップ”は、特定の地域における事例ではなく全国的な課題であることが明らかになった。