2004 年 2 巻 p. 62-70
気象庁が定期的あるいは緊急時に発表している火山情報の高度化に資する目的で、気象庁地震火山部では2001年度から「火山情報の高度化に関する調査」という一連の調査を行っている。調査は、2000年の有珠山と三宅島の噴火活動に際して気象庁が発表した火山情報を例示し、問題点を問うものなどである。本稿では、一連の調査のうち、地方自治体と報道機関を対象にした調査結果を分析し、火山情報のユーザのうち地方自治体と報道機関の視点から火山情報の問題点を抽出した。
調査結果を分析した結果、気象庁が発表している火山情報に対して、地方自治体と報道機関は、異常時における積極的な火山情報の発表を望んでいることが確かめられた。また、気象庁の火山情報に対して地方自治体と報道機関が指摘した問題点の多くは、「分かりにくい」ことに集約でき、火山情報が「分かりにくい」原因としては、(1)用語と表現に工夫を要する点があること、(2)地方自治体と報道機関への解説が分かりにくいか不足していること、(3)火山現象の評価と見通しについての言及が不足していること、(4)火山現象を表現するために必要な用語が理解されないことが挙げられることが分かった。