本論文は、地震発生時の行政機関における初動対応時の情報連携状況の把握及び課題の抽出を目的として、震度6以上を記録した2003年5月と7月に起きた宮城県・岩手県の地震事例を対象に市町村及び県の出先機関(地方支部等)に対する質問紙調査を行い、両事例を比較し分析したものである。本分析を通じて明らかになった課題・問題点は以下の通りである。
・非常時の職員参集基準が計画書に記述されている自治体が多く、浸透していること
・初動時の通信輻輳によって被害情報の収集に困難をきたす事例が未だあること
・情報伝達ネットワークにおいて市町村と県の間にある県地方支部の整備が不十分であること
・今回の災害対策本部における課題が情報処理にあり、これは既存事例とほぼ同様であること
・初動時に住民対応・マスコミ対応で人的資源・通信資源を占有され、業務に支障をきたすこと
・訓練や地域防災計画で改善できる災害初動時の共通的要素があること
これらは調査対象の2事例の分析であるが既往研究等の記述・分析と照らし合わせると、現在の自治体が有する一般的課題として考察できるものである。