火山情報の高度化に資する目的で、2001~2003年度に「火山情報の高度化に関する調査」という一連の調査を行った。本稿では、このうち、富士山火山防災に関係する地方自治体・防災機関、報道機関および有識者を対象にしたアンケート調査を基に、富士山における火山情報の発信のあり方を検討した。
調査結果を分析した結果、富士山の火山活動に関する情報についても、他の活火山と同様に積極的な情報発信と「分かりやすさ」が求められていた。富士山は他の火山に比べ特別であるという意識が強いことから、一層わかりやすい情報発信など、特別な配慮をもって火山情報を発信する必要性が確認された。火山活動度レベルの適用を推進することは、富士山における火山情報の「分かりやすさ」と有効な利用の点で、改善に寄与すると推定される。
また、富士山周辺の地方自治体と住民の火山に関する基本的知識は低く、火山情報の有効な活用のための障害となっている。現状では、火山に関する基本的知識の普及を促す機会を提供することが、将来の火山活動の活発化に備えて有効な取り組みである。