日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-137
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試験法 in vitro、代替法
グルタチオン合成酵素のノックダウンおよびCYP3A4発現アデノウイルスを用いた薬物毒性試験系の構築
*細見 浩子赤井 翔南 圭一加藤 美紀中島 美紀横井  毅
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抄録
【目的】薬物誘導性肝障害のメカニズムとして、薬物の代謝的活性化が注目されている。チトクロムP450 (CYP)3A4 は、臨床で使用されている多くの薬物の解毒や代謝的活性化に関与している。グルタチオンS-転移酵素 (GST) は薬物および活性代謝物の解毒に関わっている。本研究では、グルタチオン (GSH) 合成の律速酵素であるγ-glutamylcysteine synthetase (γ-GCS) を構成するcatalyticサブユニット (GCSh) をノックダウンするアデノウイルスを作成 (AdGCSh-shRNA) し、GSHの合成をノックダウンすることを検討した。さらに、ヒトにおける活性代謝物による毒性を高感度に検出するため、CYP3A4を過剰発現させるアデノウイルス (AdCYP3A4) を作製した。AdCYP3A4およびAdGCSh-shRNAをラット肝癌由来H4IIE細胞に同時感染させた実験系を構築し、トログリタゾン処理による細胞障害性への影響を検討した。 【結果および考察】AdGCSh-shRNA単独感染により、GCSh mRNAおよびタンパク質は、感染3日後で約80%発現量が減少し、細胞内総GSH含量は42%減少した。また、AdCYP3A4単独感染により、H4IIE細胞において顕著なCYP3A4酵素活性が認められた。さらにAdGCSh-shRNAおよびAdCYP3A4の同時感染の3日後において、細胞内総GSH含量の約50%の減少およびCYP3A4酵素活性が認められた。この条件下でH4IIE細胞にトログリタゾンを処理したところ、低濃度の処理において、細胞障害性が有意に増強された。CYP3A4 により生じるトログリタゾンの活性代謝物に起因する毒性が、細胞内GSHの減少で増強されたと考えられる。今後ラットin vivoで検討する予定である。
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© 2007 日本毒性学会
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