災害情報
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特集 近年の災害多発は、わが国の防災をどう変えたのか?
災害ボランティアが果たした役割と今後の課題
栗田 暢之
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2006 年 4 巻 p. 23-28

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抄録

阪神・淡路大震災から11年、そしてボランティア元年と呼ばれて11年が経過した。一口に災害といってもその種類や規模はさまざまではあるが、災害救助法が適用されるような大規模災害時には、被災者の復旧・復興を支援するボランティアの姿を見ない被災地はないほど日本社会に定着し、「災害救援にボランティアは不可欠」だという認識がますます高まっている。特に2004年は水害・地震が頻発したため、全国で約60箇所におよぶ災害ボランティアの拠点が開設され、延べ26万人以上(全国社会福祉協議会集計参照)ものボランティアが被災者支援に当たった。しかし、課題も少なくない。被災した地域によってその受け容れ方は様々であり、これまではボランティアを行う側の論理で被災者支援を考えてきた向きがあるが、今後は受け入れる側、つまり被災地および被災者本位の論理を中心にすえた対応が必要であること。その他、災害ボランティアセンターのあり方、中でも一時に大量のボランティアが被災地を目指すことによる弊害、また水害時の対応と地震時の対応では異なる点があることなど様々である。つまり、11年の歳月を経て、災害ボランティアのあり方については再考の時期が来たのだと考えている。近年の災害多発でより明確となった以上のような点を整理して考える。

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© 2006 日本災害情報学会
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