2006 年 4 巻 p. 5-12
新潟県長岡市は,平成16年7月13日に発生した新潟・福島豪雨災害,同年10月23日に発生した新潟中越地震と立て続けに大きな災害に見舞われた.これらによる被災経験を踏まえ,長岡市では今後の防災体制強化に向けた取り組みを始めている.本稿では,その取り組みの一環として設置された『長岡市防災体制検討委員会』において提言としてとりまとめられた報告書の内容を紹介するとともに,被災直後から現在までの長岡市の状況を振り返る.
この度取りまとめられた提言の大きな特徴として,具体的な対策案を提示する前に,今後の長岡市の防災体制に関する基本思想を記述していることが挙げられる.その内容は,行政だけでなく住民を含めた地域全体として災害対応をおこなっていこうとする姿勢を強く打ち出しており,また被災時の対応に関する内容とともに,事前の備えに関する内容も多く記述されている.また,被災後から現在までの長岡市民の状況を振り返ると,この被災経験をいかし,より良い長岡市にしていこうという前向きな姿勢が感じられた.今後はこの提言をもとに,住民と行政が一体となってより良い長岡市となっていくことを期待する.