抄録
遊びは子どもの心身の成長発達に欠かせないが、子どもの身近にある屋外遊び場では遊具に起因する重大事故が相次いで発生している。子どもに安全な遊び場を提供するためには、遊具事故の実態に見合った遊具事故防止対策の策定が重要である。本研究の目的は、屋外遊び場における遊具事故と要因を明らかにし、遊具事故防止のための対策を考察することである。
全国の都市公園、保育所・幼稚園・小学校、および世田谷区内にある冒険遊び場において、2005年度から2009年度に報告された遊具事故・傷害のうち、事故の当事者が2歳から12歳であった184件を本研究の資料とした。それぞれの資料から事故の種類と4つの危険要因(物的ハザード、物的リスク、人的ハザード、人的リスク)を抽出し事故原因の分析を行った。さらに、得られた分析結果について遊び場種別間で相互比較を行った。
主な結果は以下の通りであった。
1)事故の種類として最も多かったものは「転落・落下」(45.7%)で、「衝突」(12.5%)と合わせると屋外遊び場における遊具事故全体の半数以上を占めていた。
2)危険要因と屋外遊び場種別間の関連性を調べるためχ2 検定を行った。その結果、物的ハザードの有無において、有意な関連が見られた(χ2 (2)=37.3,p<0.001)。
3)屋外遊び場における遊具事故全体の傾向として、物的要因による事故よりも、人的要因による事故が多く発生していることが示された。
またこの傾向は、遊具からの転落・落下事故についてのみを見た場合でも同じであった。
4)危険要因と冒険遊び場利用頻度の関連については、人的ハザードの有無(χ2 (1)=7.1,p<0.01)と、人的リスクの有無(χ2 (1)=6.1,p<.05)において有意な関連が見られた。屋外遊び場の安全性を高めるためには、屋外遊び場の特徴に基づいた具体的な対策が必要であり、物的要因除去への取り組みに加え、人的要因への積極的かつ多様なアプローチが必要であることが示唆された。また、全国の屋外遊び場で発生した遊具事故データを一元化した事故データバンクシステムの構築が課題として示された。