日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
結腸に穿破した高齢者膵管内乳頭粘液性腺癌の1例
東 敏弥村瀬 勝俊荒川 信一郎田中 秀治松井 聡木山 茂今井 寿土井 潔吉田 和弘
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2020 年 53 巻 8 号 p. 657-664

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抄録

症例は85歳の女性で,腹部不快感で受診し,CTで横行結腸と連続する70 mm大の膵囊胞性病変と主膵管の拡張を認めた.ERCPで主乳頭開口部の開大と粘液漏出および主膵管内に乳頭状増殖を認めた.超音波内視鏡検査で囊胞性病変内に造影効果のある壁在結節を多数認めた.生検で膵管内乳頭粘液性腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma;以下,IPMCと略記)と診断した.膵実質は造影MRIで遅延性に造影され,拡散強調画像でびまん性に高信号を示したことから,膵実質へのびまん性浸潤が示唆された.大腸内視鏡検査で横行結腸に粘液漏出のある瘻孔を認めた.結腸に穿破した主膵管型IPMCと診断し,膵全摘術と結腸部分切除術を行った.膵管内乳頭粘液性腫瘍はしばしば他臓器に穿破することがあるが,結腸穿破の報告はまれであり,高齢症例での手術適応も含めて考察した.

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