抄録
本研究の目的は、教員等の学校危機に対する認識や求められる資質・能力の実態と課題を明らかにすることである。そのために、学校管理職及び教員(以下 教員等)に対して質問紙による調査を実施し、結果を分析した。
調査結果から、学校危機に対する認識及び求められる資質・能力への認識を明らかにした。明らかになった結果の第一は、学校危機に対する発生頻度及び深刻度に対する教員等の認識の実態である。具体的には、学校危機に関して、発生頻度よりも発生した場合の深刻度がより重要であると教員等は認識していた。さらに学校危機の各項目については、発生頻度及び深刻度の両者が高い高位群が存在していた。また、高位群以外の項目の発生頻度についての認識は全体的に低かった。しかし、深刻度への認識は学校種により異なることが分かった。
第二は、学校危機の対応時に求められる資質・能力への教員等の認識である。具体的には、各校種とも危機管理における資質・能力の必要度は高かったが、到達度は低くなる傾向がみられた。特に、危機発生時の対応において求められる資質・能力を課題としていることが分かった。