抄録
本研究の目的は、小学校の管理下での活動場面別の事故発生率を算出し、分析することにある。分析対象となったのは、日本スポーツ振興センターが発行している「学校の管理下の災害」のデータであり、文部科学省が報告している年間の児童総数を用いて、活動場面別に10万人あたりの事故発生率を算出した。コクラン・アーミテージ検定の結果、多くの活動場面では事故が減少傾向にあった。活動の減少率が最も高かった5つの活動は、「林間学校」、「臨海学校」、「総合的な学習の期間」、「水泳」、「自立活動」であった。他方、「道徳」では、9年間で事故発生率が19.47倍に増加していた。そこで「道徳」では加えて場所別、学年別、けがや病気の種類別の事故発生率を計算した。結果として、「低学年」「教室」「挫傷・打撲」が比較的増加傾向であり、内容の変化が背景にあると推察された。