安全教育学研究
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釜石市立釜石中学校における継続した防災教育の成果と展開
熊谷 誠堀村 千鶴子小松 千佳子
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2021 年 21 巻 1 号 p. 33-44

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抄録
岩手県では東日本大震災以降、「いわての復興教育」1)の一環として、県下の中学校においても総合学習の時間を利用した3年間の防災教育の授業が設けられている。本論文では,2017年度から4年間にわたり,地域防災の専門家と、防災教育の担当教員が協働した釜石市立釜石中学校での取組みの経緯とその成果について述べる。 この取り組みでは、専門家と担当教員とが協働する防災教育の構築を目指して、事前に専門家と担当教員の間で準備と授業当日の役割の分担について綿密な確認を行い、それぞれに資料や物品の準備、授業当日の役割を担う形を心がけた。そのため、この協働の形が長期におよぶ中、担当教員や担当教員が所属する学年のクラス担任らの間で防災の授業やワークショップ等への理解が進み、授業内容への提案や授業等での講師補助など、積極的に役割を担おうとする姿勢がみられるようになった2)。こうした経緯を経て、3年目には担当教員の提案から地域防災の担い手である自治会・町内会などに対して防災教育への協力を呼びかけ、実際に授業への参加・協力を得るなど、学校防災から学校地域連携を通じた地域防災への接続が実現した。そして4年目には、それまで専門家が担当していた災害・防災の授業の一部を学年のクラス担任が担当することとなり、専門家が前年度に授業で使用した教材をもとに、自分たちなりの授業内容の検討、教材の修正に取組み、防災教育の授業を行うまでに至った。
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