安全教育学研究
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暑熱環境下での座位安静における熱中症発症リスクに関する基礎的実験
飯田 智行関 和俊髙木 祐介宮坂 雄悟家光 素行内田 昌孝西村 一樹
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2023 年 23 巻 1 号 p. 31-40

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抄録
本研究は、暑熱環境における座位安静時の体重減少量と尿成分への影響を明らかにすることを目的とした。7名の成人男性を対象者とした。対象者は人工気象室(気温:33.1 ± 0.1 ℃、湿度:57.6 ± 0.8 %、WBGT(湿球黒球温度):29.4 ± 0.2 ℃)において、高校野球の試合のDVDを座位にて視聴した。約2時間の視聴中に、麦茶を自由に飲める条件とした。対象者の水分摂取量、体重減少量、発汗量及び尿中電解質を測定した。その結果、対象者の飲水量は518.4 ± 493.1 ml、発汗量は0.492 ± 0.172 kgであり、ほぼ同等の値を示し、視聴前と視聴後の体重に有意差は認められなかった。対照的に、尿電解質のNa / Crは、試合前は8.15 ± 4.65、試合後は6.12 ± 2.85であり、視聴前よりも視聴後が有意な低値を示した(p <0.05)。これらの結果から、暑熱環境下において麦茶を飲水する際、水分摂取量は充足しているが、電解質が不足している可能性が示唆された。暑熱環境下では、座位安静であったとしても、熱中症予防として運動時と同様に水分摂取及び塩分摂取を心がけていく必要性がある。
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