抄録
予測不可能な災害が頻繁に発生し、今後、一層の災害対応力強化が求められている。本稿は大学を含めた教育現場における災害対応の在り方とともに災害に強いシステムの必要性を示し、教育現場でどのようにこれを実現できるかを検討したものである。
緊急事態発生時に迅速かつ適切な対応をとり、災害による被害を最小限にとどめるためには、情報共有が重要である。また、判断や指示が組織の中枢に限定されたシステムのみの場合、その組織の重要な責任者の参集が不可能な状況等にあるとシステムそのものが機能しなくなることから、分散型のネットワークであることが災害対応システムとしてより強健なものとなり得る。現場における意思決定も同様であり、限定的な意思決定のプロセスのみでは脆弱なものとなり得る一方で、分散型の意思決定のプロセスは受ける影響を限定的にとどめ、全体としてはシステムの機能を維持し続けることができる可能性を持つ。その具体的事例としてCOVID-19によるパンデミックの緊急事態下において、学内の情報共有と意思決定のために立ち上げられた分散ネットワークシステムについて報告する。