抄録
一次救命処置(Basic Life Support;BLS)講習会でインストラクターは自己効力感が向上する。しかし自己効力感の向上でインストラクターがどのように変容するかは未だわかっていない。我々は、中学生対象のBLS講習会に参加経験のある看護師9人を対象に1対1の半構造化インタビューを実施し、インタビューデータをSteps for Coding and Theorization(SCAT)を用いて質的分析した。626個のテキストデータからテーマ、構成概念から類似するデータを抽出し解析したところ、<BLSを教える難しさ>、<学習者の学習姿勢>、<後輩に教える>、< 教えた成果>、<教えるための言葉の使い方>、<講習会の改善点>、<教える責任>、<学習者の理解に合わせて教える>、<教育方法を習得し使用する>、<根拠を持って教える>、<今後もBLS講習会に参加する>、<教えることに自信を持てる>、<振り返りからの学び>、<自分自身の成長>と14にグループ化することができた。さらにグループの関係から、【気づき】、【対応】、【実践】、【維持】、【確立】の5つの概念が得られた。看護師は、BLSインストラクターを経験することで【気づき】、【対応】、【実践】、【維持】、【確立】の5段階の行動変容をしていることがわかった。この5段階の行動変容は、インストラクターの経験を続けることでKolbの循環型の経験学習をしていると考えられ、さらに看護師として臨床の業務にも活用できる変容をしていることが示唆された。