2007 年 17 巻 p. 1-7
本研究の目的は,高齢者施設内居室における照明の実態を調べるとともに,その照明条件が入居者の心理や行動と介護者の作業成果に及ぼす影響を明らかにし,入居者と介護者双方にとってより望ましい照明環境のあり方を提示することである。高齢者施設内の入居者及び介護者の生活パタ−ンと照明とのかかわりに関する調査,入居室の照明環境についてインタビュー及びアンケ−ト調査を行った結果,入居者や介護者は,明るさの調節ができる照明,操作が簡単な照明,設置場所について自由度のある照明等のように個人的に制御できる照明を求めていることがわかった。さらに,検証実験により,施設内照明の明るさ,操作の仕方,制御の程度,照明の配置などが,入居者及び介護者の心理や行動に肯定的な影響を与え得ることがわかった。