抄録
オーストリアの近代建築家であったヨーゼフ・フランクの住宅作品の空間的特質について,3戸の住宅作品を取り上げ分析したものである。すなわちフランクの初期の作品であるショル邸,中期の作品であるベーア邸,後期の作品である第2ブンツル邸を取り上げ,各住宅の動線に着目して,平面形態から始めて,空間全体を分析し,最終的に,その住宅の年代の推移による空間的特質について考察した。それによって,フランクの住宅作品が,初期の概ね左右対称を保持した1ボリュームの全体形態から,中期の1ボリュームの一部を崩した全体形態へ,その後,後期の分散的形態へと移って行ったことを明らかにした。また,3住宅の内部空間はいずれも,ホールとメイン階段とが連携しながら,動線の要として,高さの異なる床を空間的に統合していた。