2017 年 27 巻 p. 31-36
本研究は,キャビネットを土色に塗装し,土と木材で制作した化粧パネルにより側面を囲われた自販機と飲料メーカーが通常使用する自販機を並べて設置し,購買量にどのような違いが表れるかを明らかにする。また,土壁化粧パネルの設置により日射の影響による自販機のキャビネットの温度上昇を軽減できるかどうかを,キャビネット側面付近の気温計測から検証する。化粧パネルは,周囲の自然環境の色彩との調和と版築壁が持つ自然性のイメージを意識しながら制作した。実験結果は次の通りである。1. 日中,化粧パネル側面付近の気温は,通常の自販機よりも低く抑えられ,自販機のキャビネットの温度上昇を抑制する効果が示唆された。降水後,化粧パネルの含水により気温上昇が抑えられた。2. 夏季から冬季にかけての購買量は,どの月も化粧パネルを設置した自販機が通常の自販機を上回ることはなかった。