本研究は,離島漁村集落における屋外での滞留の場の空間構成と滞留の実態を整理し,地域住民の交流を促す空間づくりのための有用な知見を得ることを目的として,集落の実測調査とともに,滞留者のマッピング調査やヒアリング調査を実施した。 その結果,滞留の場は人通りが多く開放的な湾岸部に多く分布し,住民自らによる手作りベンチに座っての会話が中心であることがわかった。また,路地との距離等の空間構成によって,暇つぶしを目的とする「たまり場」と用事ついでの移動者と滞留者とが交流する「ついでの場」に分類することができた。 このように,住民自らの手で路地周辺の空間構成に適した過ごし易い環境をつくりあげ,過ごし方を選択できる点が,小野浦集落における地域住民の交流を促す空間づくりの特徴であることを明らかにした。