抄録
本研究では,段差の視認性向上に有効な天井照明の配置条件を検討することを目的とする。天井照明の位置を変化させて段差の視認性評価実験を行った結果,段鼻よりやや上段側の天井面に照明を取り付けた際に,上りと下り両方向からの視認性が向上するという結論を得た。また,各照明条件において段差各面の輝度や照度を測定し,視認性評価と照らし合わせた結果,以下のことが明らかになった。(1)暗所における段差の視認性を高めるためには,段差各面の照度差よりも,段鼻を中心とした広い範囲に最低限の照度が確保されていることの方が重要である。(2)段差の「境目」や「存在」の視認性は,段差の上下面の輝度の差が大きいとき高くなる。(3)下り方向では,照明が段鼻より手前側にあるときに総合的な段差の視認性が高くなる。(4)上り方向では,照明が段鼻より奥にあるときに「境目」と「存在」の視認性が高くなり,手前側にある時には「高さ」の視認性が高くなる。