抄録
病室の内装は,快適な療養環境につながる色彩を使用すれば,患者の心的ストレスを軽減させることができる可能性がある。本研究では,1個室の壁全面が白,頭部側一面の壁を赤,黄,緑,青で着色した画像を被験者に提示し,その際の印象評価等に関して回答した結果から,色環境の満足度を従属変数,印象に関する項目を説明変数とした重回帰分析により,色環境の満足度に関わる要件を抽出した。2人に与えるストレスを把握するために,内装に用いられる傾向の高い白色と,上記の調査で色環境としての満足度の最も高い緑,最も低い赤で着色した病室を VR にて体験した直後にその印象を記入させた。また,体験前後にそれぞれ VAS 方式のアンケートへの記入,及び唾液アミラーゼ活性の計測を行った。一連の実験を通じ,赤はストレス値が高くなり,緑は低くなる傾向が把握できた。