音色の表現語に階層構造が存在するかどうかを調べるための手がかりを得ることを目的として質問紙法による心理実験を行った。114語の音色表現語について、その使用頻度を7段階尺度で166名の被験者が評定した。主観的評定の結果に基づき、114語の中から50語が選択された。160名の被験者がこれらの表現語の主観的印象を次の四つの尺度--(1)具体的-抽象的、(2)単純-複雑、(3)客観的-主観的、(4)表現された音色を想起することの困難さ--により評定した。また、表現された音色の類似性を分類法により測定した。結果を多次元尺度法とクラスタ分析により分析した。分析結果から、音色表現語の階層構造が解釈された。本研究は人間の音色知覚機構について更に研究するための基礎となるであろう。