1994 年 51 巻 1 号 p. 14-24
近年、地球規模の広域観測のために、海中のSOFARチャンネル内の音波伝搬を利用した海洋音響トモグラフィ観測(OAT)が注目されている。OATでは、観測海域周辺のSOFAR内に数百〜数千km離隔して配置された音源と受波装置間に多数存在する固有音線を正確に把握するために、あらかじめ音源の設置深度を決定しておくことが不可欠である。本論文では、実測した音速プロファイルを基に音線理論により、SOFAR内の固有音線について、受波点に到達する深度、角度、伝搬時間及び伝搬損失を音源の深度をパラメータとして計算し、OATに適した観測装置の深度をSOFAR軸との関係において求めた。また、固有音線の実測値と計算結果との比較を行い、その妥当性を検証した。